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産業技術大学院大学(公立大学法人 首都大学東京) 情報アーキテクチャ専攻 Web版InfoPress [社会人大学院][東京都品川区][IT]

今年度のPBLの概要

昨日書いたように本学は4学期ですので講義・演習科目は第1学期(1Q)が6/12で終わり、第2学期(2Q)が6/13から始まります。

しかし、PBL型科目だけは前期(本学でいうところの第1-2学期)、後期(第3-4学期)の科目です。

PBL成績判定会議

したがって、正規の成績は前期・後期にしたがって、2Q終了時と4Q終了時に評価するのですが、当専攻では1Q終了時と3Q終了時にも暫定の成績評価を行います。評価の手順は以下に書いた正規の成績評価と変わりませんが、この暫定の成績は、専攻として今後の学生の指導を適切に行い、また問題がある学生に早めに対処するために行うもので、評価結果は教員から各学生に開示されることもありますが、成績の記録としては残りません。1Qの成績判定会議は6/22火曜に行われました。

PBL検討部会

今日6/24金曜は外部委員参加によるPBL検討部会がありました。当会議は、本学のPBL教育に対する外部の意見を聞くために年に数度開催され、今回は昨年度のPBLの成果、今年度のPBL、今後のPBLの内容に関する意見交換が行われました。今年度は当専攻としては10年目のPBLですが、最初はPBLという言葉しか無い状態だったものの、単にプロジェクトを実行するだけでは無く、教育効果を高めるための教育メソッド、また到達目標、修得できる知識・スキル、評価のための基準等を設計、確立してきたことを振り返りました。

今年度のPBLの概要

今回の会議にあたり、今年度のPBLの概要及び現状を簡単にまとめた資料を作成しましたので、折角ですから、以下に掲載します。

■事業開発・事業改革のための情報システム(ソフトウェア)の開発

小山 裕司 教授(5名)
概要: 今年度はシステムアーキテクト1名、テクニカルスペシャリスト2名、事業アーキテクト2名の計5名の体制である。新規事業の立ち上げを想定し、ITを活用することで医療、飲食等の次世代成長産業分野での既存の仕組みの改革を提案し、実際に情報システム開発(提案・設計・ 実装・運用等)を一般公開できるレベルで実行し、効果を実証実験によって検証する。この取り組みを複数回繰り返す。今年度から事業アーキテクトが参加し、事業構築を想定した取り組みを期待している。現在(1Q)は、第1のプロジェクトとして、100以上の企画提案の結果、アイディアを蓄積・協創するための(IdeaHub)の開発及び事業立ち上げを進めている。

■大規模プロジェクトマネジメント模擬実践と研究

(飲食業におけるプロジェクトマネジメントの実践とプロジェクトケース事例研究)
酒森 潔 教授(6名)
概要: 本年度のメンバーはプロジェクトマネージャ5名と事業アーキテクト1名である。募集時からプロジェクトマネジメントの実践学習をすると宣言し、例年通り前半は模擬プロジェクトの実践、後半はチームメンバーによる自主テーマの実施をおこなっている。PBL活動は毎週水曜と土曜のコアタイムを中心に、模擬プロジェクトで作成する各種プロジェクト文書を全員がいったん宿題として作成して持参し、コアタイムではそれを元に議論するという方法で進めている。進め方の情況は、毎回開始時には個人の当日の目標宣言、事前に作成したタイムチャートによる実施管理、議事録の作成とラップアップ、最後にKPT手法による振り返りという手順で行われ、遅刻欠席はほとんどない。活動の質という点では、今年のメンバーは大手商社やプロバイダーの現役のPMであり、模擬プロジェクトの発注者と受注者役に別れ例年以上高いレベルでの活発な議論ができている。

■システムズエンジニアリング標準に準拠したシステム開発

嶋津 恵子 教授(4名)
概要: 3名がプロジェクトマネージャ、1名がテクニカルスペシャリストの4名体制(システムズエンジニアリング標準が目指すシステムアーキテクトを選択している学生は不在)。今年度はホッピング通信方法を利用した山岳遭難救助支援システムの試作品完成を目指している。システムズエンジニアリング標準を基盤としていることから、コンカレントエンジニアリングとモデルベースエンジニアリングを実践する。

■マルチステークホルダープロセスによるプライバシーリスク評価技法の開発

瀬戸 洋一 教授(5名)
概要: 今年度は、PM経験者1名、Webアプリ開発技術者1名、無線LAN設置技術者1名、システム運用技術者1名、新卒留学生1名の体制でPBLを進めている。オリンピックにおける都市の安全安心を目的に多目的ネットワークカメラシステムのマルチステークホルダープラセスによるプライバシー評価の技法の開発と実証を行う。特にセキュリティ、プライバシーを専門とする技術者はいない。このため、1Qは個人情報保護法、リスク評価等の基本技量の修得を目的に活動を実施した。現在警察庁、産業界による委員会を設置しプロジェクトを推進し、学生の活動を委員会と連携・貢献し進めている。2Qから想定システムへのプライバシーリスク評価およびマルチステークホルダー理論の構築に着手した。例年に比べ、遂行能力が不十分な学生が多く、基礎学力、コンピテンシーの取得の仕方等基本に重点を置いた指導となっている。

アジャイル開発のためのスキルセットの獲得

中鉢 欣秀 准教授(6名)
概要: 明確な分類は難しいが、概ね、システムアーキテクト3名、テクニカルスペシャリスト3名の計6名の体制であり、日中韓の混合チームである。本PBLの成果とは「学生自身の成長」であると明確に定義し、学生が能動的にアジャイル開発(スクラム)のスキルセットを獲得することを狙う。チーム活動では振り返りを重視し、自ら課題を発見して自ら改善することで自己組織化する方法を学んでいる。これらを主目的としつつ、具体的な成果物としてはWebアプリを開発している。開発技術としてRuby on Railsを用いており、GitHubTravis CI、Heroku等のクラウドサービスを積極的に活用したモダンな開発スタイルを取り入れている。最終的には多くのユーザの獲得が見込める有用なサービスの開発を行いたい、というのが本年度の学生が設定した目標である。

■情報戦略と業務改革(BPR)提案

戸沢 義夫 教授(6名)
概要: 今年度はストラテジスト3名、事業アーキテクト3名の計6名の体制である。PBL 協力企業の業務内容を理解し、潜在する課題を抽出し、業務価値を生み出すための業務改革(新しい仕事の仕方)、情報戦略(ITの活用)を提言することを目標している。今年度の前期の協力企業は大手SIerである。社長等のトップマネジメントとの直接のやりとりを実践し、マネジメントの考え方、関心事を理解したり、新しいアイディアを提案した場合の相手の反応から、提案内容の良し悪し、次に行うべき活動等をダイナミックに判断したりする協力企業との密接で直接のディスカッションが特徴である。

■ヒューマンコンピュータインタラクションシステム
飛田 博章 准教授(6名)
概要: ソフトウェアとハードウェアを融合したヒューマンコンピュータインタラクションシステムの開発を行う。事例を調査し、アイディアを創出し、実装する過程を通じて、今後の人間とコンピュータの関わりを予測し、実現する人材の育成を目指す。現在は、各自が頭部搭載型のウェアラブルバイスをデザインし、実装しながら、ソフトとハードが融合したものづくりを実際に体験し知見を深めている。また、単なるプロトタイプの実装だけでなく、対外的な発表を視野に入れ学会発表や各種コンペへの出典を予定している。

■デバイスと融合したクラウド上のサービスの企画/戦略立案
成田 雅彦 教授(6名)
概要: 今年度はテクニカルスペシャリスト6名の体制である。新デバイスとネット上のサービスを融合した企画/戦略立案を行い、それに基づき試作/対外活動/評価を行い、企画案へのフィードバックを得る。この活動により製品の企画に必要なスキル獲得を目標としている。1Q現在、参加者合計120件のアイディアを出し、その中から各自1件の提案を行った。結果、2つの案に絞り、ブラシュアップを行っている。2Q末までに第一次試作の完了を目指している。

ビッグデータ時代のユーザフレンドリーシステムの研究開発

中野 美由紀 教授(6名)
ビッグデータ時代の今、革新的な技術が企業、大学を問わず、生み出されています。それらの先端的な技術を一早く見出し、理解し、様々なユーザのニーズ、市場のトレンドを踏まえて、ビッグデータ時代の新しいサービスを実現するシステムの提案、プロトタイプの開発を行っていきます。ビッグデータ解析、IoTとしてのWebデータの利用等を前提に、新しい技術を探り、理解し、ユーザにとって魅力的なアプリケーションを提示するための能力(研究動向の調査、研究課題の設定、問題解決方法の提案、提案手法の実装、手法の有効性評価)の修得を目指します。

■サービス提供のための業務管理支援とその実現手法に基づいたシステムの構築と運用

松尾 徳朗 教授(2名)
概要:今年度はシステムアーキテクト2名の体制である。今年は、コンベンション等のイベント経営を支援する学会や非営利の組織の会員管理システムの構築に取り組んでいる。具体的に、国内外の学協会の会長、観光協会コンベンションビューロー日本政府観光局等からの協力を受け、小中規模の組織支援を実現できるビジネスプロセスに基づいたシステム構築、およびそれを用いたビジネス化を狙っている。現在は、プロトタイプが完成し、海外のアソシエーションへの英語でのインタビュー、国内アソシエーションでのシステムの試用の段階にあり、松尾PBLチームはこれらの活動を基盤とした社会貢献を果たすべく活動している。

■アジアに対する新たな中小企業投資イニシアティブの政策提言(仮題)

前田 充浩 教授(情報アーキテクチャ専攻から3名)
(創造技術専攻と一緒のPBLであるため省略)