「アーキテクチャ」とは #2
「アーキテクチャ」って何だろう
今回も引き続き、当専攻の「アーキテクチャ」の話をしたいと思います。前回の話は以下を参照してください。
IT・情報技術が実現するもの
日本での従来のIT活用は、人件費等のコスト削減を目的とするものが大半です。
しかし、ITの活用では、「効果・効率を高める」、「新しい価値を創出する」、「不可能を可能にする」ことも期待されています。当専攻の戸沢教授はBABOK(A Guide to the Business Analysis Body of Knowledge)を引用して、この行為をChangeと表現しています。
実際、米国でのIT活用は、勝ち残るための売上増、付加価値の提供を目的とするものが大半です。 ITは、あらゆる産業分野で破壊的技術として「情報革命」とも呼ばれるイノベーションを約50年に渡って継続的に引き起こし、未来を創ってきました。
統制のための4要素
CODE(Code and Other Laws of Cyberspace)の著者、CC(Creative Commons)の提唱者として知られる米国の法学者レッシグ教授は、 社会及び人々の行動は、法律、市場、規範、アーキテクチャの4要素によって統制(Reguate)されると論じています。
- 法律: 厳罰による統制(威嚇的統制)
未成年の喫煙は禁止されている。 - 市場: 価格の上げ下げ等による統制
煙草の値段を上げたり、銘柄数を減らす。 - 規範: 学校教育等による統制
レストランでの喫煙は常識的には避ける。 - アーキテクチャ: 技術・仕組みによる統制
ニコチン増減、自動販売機の年齢認証等。
通常は法律による統制が優越的であり、アーキテクチャによる統制は、残りの3要素による統制よりは不自由感は弱いことが指摘されています。また、インターネット空間では、 アーキテクチャによる統制が特に強く、またある種の法律に相当することも指摘されています。
イノベーションの実現
イノベーションの実現には、目的に対して最適に情報システムを開発(提案、設計、実装、運用)する必要があります。これは単純では無く、 各種の制約と、実現可能性と、さらには何が最適かという判断からアーキテクチャを決定する必要があります。 したがって、当専攻では、こうした思いから、当専攻では、情報システム開発に関わる技術体系のことを「情報アーキテクチャ」と呼んでいます。 「アーキテクチャ」は社会及び我々を統制し、変革を実現します。当専攻では、社会を変革し、イノベーションを引き起こすIT活用である情報システムを皆さんと一緒に作り出していきたいと思っています。
続く。可能性あり。
大学院説明会
今回の記事で使ったスライドは、大学院説明会 資料(情報アーキテクチャ専攻)からの流用です。